特許庁の発表によると、2019年4月より、日本語によるPCT国際出願について、PCT協働調査の対象として試行的に受入を開始する、とのことです。
https://www.jpo.go.jp/system/patent/pct/seido/pct_kyoudouchousa_shikou.html

「PCT協働調査 (PCT Collaborative Search & Examination)」は、JPO・USPTO・EPO・KIPO・SIPOの五大特許庁が協働して特許可能性に関する判断を行い、最終的に一つの国際調査報告を作成し、出願人に提供する、という制度のようです。

日本語によるPCT出願についてPCT協働調査を受けるためには、参加申請書(「PCT協働調査申請」)を国際出願書類と同時に提出する必要があり、申請の仮受理の通知日から1ヶ月以内に、国際出願書類(明細書、請求の範囲、要約及び図面の全文)の英訳文を書面で提出する必要がある、とのことです。

尚書きとして「PCT協働調査へ参加するために提出する本英訳文と、PCT国際出願を各庁へ国内・域内移行した際に提出する翻訳文(英語)が一致している必要はありません」との記載があります。

どのくらいの出願人がこの制度を利用したいと思うかは私にはよく分かりません。(審査する特許庁が増えればネガティブな調査報告が出る可能性も高まる?)しかし、尚書きにあるように、PCT協働調査のための英訳文が移行用の英訳文と一致している必要がなくざっくりとした訳文でよいのであれば、ひとまず機械翻訳などを使って下訳を作成してPCT協働調査の申請をする、ということも考えられそうな気がしますが、どうなのでしょう。

とはいえ、「日本国特許庁が受け入れ可能な参加申請の総数は50件/年」とのことなので、いまのところ我々人間翻訳者にとって大きなインパクトはないのかな、と思います。。。