クライアント様から、特許翻訳者の指導のご依頼をいただき、伺ってきました。アドバイスをまとめてみました。

【特許翻訳の上達のためのアイディア】
★特許事務所のアドバンテージを活かす:
・可能であれば、発明者との打合せに翻訳者も参加する (特に外国出願予定のある案件について) →発明や出願をより深く理解できるようになるし、発明が「自分事」になる
・実際に明細書を書いてみる (クレームだけでも書いてみる) 、打合せに参加した案件の実際の明細書を読んでみる→クレームや明細書がどのように構成されているかが理解できるし、執筆者の気持ちが理解できるようになる
★特許法の基礎を勉強する (セミナーでもいいし、 『知っておきたい特許法』などの入門書を読むのもよい?) 、弁理士試験の勉強をしてみる
★日本知的財産翻訳協会の「知的財産翻訳検定試験」の過去問を (タイムを計って) 解いてみる、実際に検定試験を受けてみる

【いわゆる「特許翻訳」を勉強するのにお勧めの本】
・『新版 特許翻訳完全ガイドブック』 (イカロス出版)
・『特許翻訳の基礎と応用 高品質の英文明細書にするために』 (講談社)
・『詳解 特許翻訳 よくある間違いと修正ポイントが一目でわかる』 (講談社)
・『特許翻訳の実務 英文明細書・特許法のキーポイント』 (講談社)
・『外国出願のための特許翻訳英文作成教本』 (丸善出版)
・『特許翻訳者のための米国特許クレーム作成マニュアル』 (講談社)

【生きた技術英語・特許英語を勉強するのにお勧めの本】
・『Faber & Kowalski on Mechanics of Patent Claim Drafting』 (Practising Law Inst)
・『McGraw-Hill Dictionary of Scientific and Technical Terms』 ←『マグローヒル科学技術用語大辞典』の原書。日本語版と照らし合わせることで、英語表現が学べるし、技術も学べる。なかなか売ってなくて、見つけて発注しては販売者にキャンセルされ…を何度も繰り返し、数年越しでやっとアメリカから取り寄せることができた!
・英語の技術系の本 ←いまはネットにたくさん情報もあるし、動画なんかも見られるけれど、図解のある書籍はやっぱり分かりやすい。お気に入りは『Wellington Sears Handbook of Industrial Textiles』
・そのほか、ニュース、Audiobook、文芸書など、どのようなものでも英語の語彙・表現の勉強になるのでは?

【特許法や判例の勉強ができるサイト等】
★USPTOサイト (MPEPなど) :https://www.uspto.gov/patents/laws
・例えば、いわゆるmeans-plus-functionクレームの解釈方法などは、MPEP (2181) の原文を読むことで、英語の勉強にもなるし法律の勉強にもなる。MPEPの中には、判例がたくさん引用されているから、判例の勉強にもなる。
★知財高裁ウェブサイト:https://www.ip.courts.go.jp/eng/index.html (英語サイト)
・最新判例の英訳が出ているので、判例の勉強にも英語の勉強にもなる。
★WIPO管轄の条約の英文・和文:https://www.wipo.int/treaties/en/ など
・特許協力条約 (PCT) とかマドリッド協定議定書 (マドプロ) の日本語の公定訳を使って法律の表現を勉強できる。