かなり前から「受けたい」と思っていた米国翻訳者協会(ATA)の認定試験を、先日ついにオンラインで受験しました。

「AIがこんなに発達した時代に、なぜ翻訳の認定試験を?」と思われるかもしれません。でも私は逆に、AIが翻訳を担う時代だからこそ、人間が原文を正しく理解し、正しい訳文を作成する力がますます重要になると感じています。AIの訳をチェックするにしても、自分に基礎体力がなければ正しく評価できないようにも思います。

そんな思いから、思い切ってATAの試験に挑戦することにしました。
課題文については一切口外禁止なので触れることはできませんが、受験にあたってのテクニカルな話を少しシェアしたいと思います。


自宅で受験可能に

現在は、自宅に居ながら自分のパソコンで受験することができます。
基本的にはATAのウェブサイトで説明されている通りなのですが、私はノートパソコンとUSBマウスを使って受験しました。

ガイドラインに「You will not be able to use your mouse to navigate the page」と書いてあったので、ウィンドウの切り替えも全部キーボードでやらなければいけないのかと思い焦りました。しかし実際は、原文・訳文表示用のウィンドウ内ではマウスが使えないだけで、ブラウザのタブ切り替えや辞書ソフトの操作にはマウスが使えました。
👉 詳細はこちら: ATA Certification Exam Restrictions and Requirements


事前準備で役立ったセミナー

受験申込をすると、ガイドラインなどが送られてきますが、正直よくわからないところもありました。そこで、翻訳者のランサムはなさんと、ATA英日認定グレーダーの佐々木サマーズ章子さんによるオンラインセミナー『ATA認定の取得 その真価と対策 ~合格に役立つヒント~』のアーカイブを購入して準備しました。

当日は有効期限内の写真付身分証明書をパソコンのカメラから試験官に見せる必要があります。このセミナーを通じて「英語で書かれた身分証でないとダメ」と知っていたおかげで、パスポートを手元に準備でき、慌てずに済みました。
👉 セミナー詳細: 『ATA認定の取得 その真価と対策


受験までの流れと準備物

ATAサイトから受験申込をすると、希望日をネット上で指定できます。
受験日までに私が準備したのは以下の通りです:

  • ガイドラインを熟読

  • ノートパソコンの設定(辞書ソフト、有線LANケーブルなど)

  • 指定された受験用アプリをスマホにダウンロード

  • 後方から自分を撮影できるよう、スマホ用三脚を設置

当日のトラブル:辞書ソフト使用可否問題

ガイドラインには「During the exam, you may use any dictionaries, glossaries, or work lists stored on your computer」と明記されていたので、私は安心してDDWin(EPWING規格のオフライン辞書リーダー)を準備していました。

ところが当日、試験官から突然「DDWinは使えません!」と言われて大慌て。
「いやいや、ガイドラインには使えると書いてある。これが使えないなら受験できない」と強めに抗議したところ、裏で確認してくれたようで、最終的には使用OKとなりました。

本当に焦りました…。この試験のために『ビジネス技術実用英語大辞典V6』を購入していたので、使えなかったら泣いていたところでした。

ちなみに、オンライン試験官はやや強めの(インド?)訛りを話す方で、音声も若干聞き取りづらかったです。聞き取れない説明については尋ね直して確認しました。

さいごに

試験全体の詳細については、すでにATAウェブサイトや他のブログでも多く語られているので、ここでは割愛します。

結果が出るのは少なくとも16週間後とのこと。どうなっていることやら…