特許の明細書において、「作用効果」という語を見かけることがありますね。これをどう訳すかで悩んでしまうことがあります。

広辞苑(第5版)によると、「作用」「効果」はそれぞれ次のように定義されています。

作用:はたらきを及ぼすこと。

効果:ある行為によって得られた、期待通りのよい結果。ききめ。

特許技術用語委員会編の『特許技術用語集』(第3版)には、「作用」に関し、次のような項目があります。(「効果」はありません。)

作用:action, function, effect 事物に働きを与えること。

吉藤先生の『特許法概説』には、「作用」に関し、次のような説明があります。

「作用は、発明の構成が行う働き(機能)をいう。しかし、発明のなかには、作用を明確に把握することができないものがあるとともに、作用と効果を明確に区別することが困難なものもある。作用は、構成と効果の中間に位する靭帯役目を果すものであるであるからである(用語辞典)。実務上、作用と効果を併称して使用することが多いのもこのためであろう。」(吉藤幸朔『特許法概説』、第13版、267頁)

作用と効果を明確に区別することが困難な場合もあるかもしれないけれど、ひとまず「作用」と「効果」は別物として考えることができそうです。すると、「作用効果」という語は、「action and effect」とか「operation and effect」とか「function and effect」とでも訳すのだろうか、と考えます。

ここで、「action」「operation」「function」のうち、どの語を当てたらよいのかしら、と考えます。Merriam-WebsterやOxfordなどのオンライン辞書のエントリーをコピペするのはどうやらterms of useに反する可能性があるので引用しませんが、調べてみると、「action」が「作用」に近いような気がします。

そうすると、「本発明の作用効果」などの表現は、「the actions and effects of the the present invention」と訳すのですかね。では、「本発明」という語を嫌って「本開示の作用効果」なんていう和文があった場合はどう処理したらいいのか…。また悩んでしまいます。

…などなど、思ったことを書いてみましたが、発明や文脈によって、また、クライアントによっても、訳し方は変わってくる可能性があると思います。