平成27年特許法改正で、『先願参照出願』という新しい出願制度が導入されましたね(38条の3)。英語では『reference filing』というそうです。改正のベースとなった特許法条約の規定は次の通りです。
PLT Article 5 (7) [Replacing Description and Drawings by Reference to a Previously Filed Application] (a) Subject to the requirements prescribed in the Regulations, a reference, made upon the filing of the application, in a language accepted by the Office, to a previously filed application shall, for the purposes of the filing date of the application, replace the description and any drawings. |
特許法38条の3第1項は次の通りです。
第三十八条の三 特許を受けようとする者は、外国語書面出願をする場合を除き、第三十六条第二項の規定にかかわらず、願書に明細書及び必要な図面を添付することなく、その者がした特許出願(外国においてしたものを含む。以下この条において「先の特許出願」という。)を参照すべき旨を主張する方法により、特許出願をすることができる。ただし、その特許出願が前条第一項第一号又は第二号に該当する場合は、この限りでない。 |
講演でもちょこっと触れる予定のため、簡単な図を作成してみました。
この『先願参照出願』ですが、条文、改正法解説本、特許庁の審査基準や各種資料を読む限り、「利用価値はあるの?」と疑問を覚えずにはいられません…。だって…
・(特許庁の資料によると)先願参照出願をする時にクレームと要約書は必要との事なので、「明細書と図面だけ後から提出してもいいよ」と言われても、逆に二度手間で面倒?
・先の特許出願が外国語で書かれている場合、日本語の明細書・図面等のほかに、先の特許出願の翻訳文も提出しなければならず、面倒?
・『外国語書面出願』とは違うので、誤訳訂正書での誤訳訂正はできない?
・「先の特許出願の出願時期にかかわらず、いつでも出願可能」と言うけれど、場合によっては自分の先の特許出願によって新規性・進歩性を否定されてしまう可能性あり?
謎だな~。
★参考にした資料:
・https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/tukujitu_kijun/06_0400.pdf
・https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/syutugan_tetuzuki/02_09.pdf
・http://www.jpo.go.jp/tetuzuki_e/t_tokkyo_e/files_guidelines_e/06_0400_e.pdf
・https://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/pdf/new_shinsakijyun08_shiryou/05.pdf